[ワールドサッカーサテライト]
文=ディルク・ギーゼルマン 翻訳=阿部浩アレクサンダー 写真=フォトスポーツPowered by WORLD SOCCER KING
ドイツになぜ優秀なGKの系譜があるのか。その理由をドイツ人のメンタリティーやフィジカルと結びつけて考えることはできなくもない。だが、どの国のどの地域にも、優れたサッカー選手は生まれるものだ。私としては、「名選手が次の名選手を生む」という考えを支持したい。名選手からポジションを奪おうと努力し、上回った選手がその地位を受け継ぐ。少なくともトゥレク以来の名GKの伝統は、そうやって生み出されたものだ。だとするならば、ノイアーはその「集大成」とも言うべき存在かもしれない。
アデンはどこですか?
もちろん、ノイアーの同世代、あるいは下の世代にも注目のGKは数多い。レヴァークーゼンのレネ・アドラーは、ノイアーがいなければ代表の正GKとなっていたはずの実力者だ。そのアドラーが今シーズン開幕前に負傷したため、クラブは応急措置としてシュトゥットガルトからベルント・レノをレンタルで獲得。わずか19歳のレノは今シーズン、アドラーの不在を全く感じさせない好プレーで期待に応えている。名門ボルシアMGの好調を支えるマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンも19歳。同じく好調をキープするハノーファーの守護神、22歳のロン・ロベルト・ツィーラーは既にドイツ代表の第3GKに定着した。この顔触れを見れば、ドイツ代表は当分、GKのポジションで頭を悩ませる必要はないだろう。
マラッカは何を意味するのでしょうか?
ドイツのGKの系譜における唯一の悲劇は、鉄道に飛び込んでこの世を去ったロベルト・エンケだ。冷静でクレバーなGKだった彼は、優しい性格と真のリーダーシップを備えた素晴らしい人格者でもあった。もし生きていれば、南アフリカW杯は彼の大会になるはずだった。だが09年11月、ついに心が折れてしまった。彼が重いうつ病を抱えていたことなど誰も知らなかった。
ご存知の通り、エンケの着けていた「背番号1」はアドラーに渡り、アドラーがW杯の直前に骨折したことでノイアーに回ってきた。これはまるで、何かを暗示しているような展開だ。ノイアーはシャルケ時代もわずか20歳でトップデビューしている。これは当時の正GKフランク・ロストが監督と対立し、第2GKに降格したために与えられた出番だった。
湖メイのダスか
どれだけ実力があったとしても、25歳でリーグ戦160試合を超えるキャリアを築くGKはそういるものではない。「運命に選ばれたGK」と呼ぶのは言いすぎかもしれないが、彼には幸運なことに、歴代の名GKに並ぶだけの条件がそろっている。卓越した技術を備え、若くして十分な経験を積み、ドイツ代表でも確かな地位を得た。そして絶好のタイミングで、バイエルンというビッグクラブに移籍した。誰もが認めるワールドクラスでありながら、ノイアーにはまだ飛躍する余地がたっぷりと残されている。
ノイアーはデビュー当時から闘志溢れるプレースタイルを評価され、しばしばカーンと比較されてきた。しかし、ノイアーはカーンよりもずっと機敏に動ける上に、守備範囲も広い。となると、タイプとしてはレーマンに近いのだろうか。だがレーマンは足元の技術に欠け、積極的だが判断ミスも多かった。その点では、素晴らしい判断力とキック技術を持っていたエンケの後継者とも言える。先ほどノイアーを「集大成」と書いたのはそういう意味だ。
「ノイアーは世界ナンバーワンだ」。そうゴメスは言う。「いつの日か、彼のチームはW杯で優勝するだろう」と。ノイアー自身もそう考えているだろう。マイヤーやイルクナー、カーンの列に並ぶには、南アフリカで手にしたW杯3位の称号ではまだ足りない。
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